トーキングエイドと「やあくん」の変身 NPOぴーす
私の一人息子、…みんなは「やあくん」と呼びます。
養護学校・小学部4年生、自閉症です。
お医者様の言葉で説明すると…
重度の知的障害を伴う、孤立型の自閉症なのだそうです。
確かに、人との関わりはうす〜い子 今でも毎日会う学校のお友達のことを「だ〜れ?」と聞くと どの子のことも「せんせい」と答えます。 写真と文字の名前のマッチングは1年生の頃からできたのに本物のマッチングはむずかしいのかな〜。
言葉が割と早くからありました。
そのせいか、3歳で取得した療育手帳も、最初は軽度…
そのウチしゃべるかな、会話できるかな、なんて期待もしていました。
でも回りのお友達のようすと比べ、こりゃ大変な子だ〜と気づきました。
表情が乏しく、パニックもなく、何を考えているのやら、さっぱりわからない。
非常に多動ですぐにいなくなる、逆に動かないとなるとビクともしない、どんどん増える言葉も、全く意味のない独り言ばかり。
そんなやあくんを見て、時折言われたのは「伝えたい気持ちが少ない子」「指示待ちになりやすい子」それはいややな…、私が望むのは、自分で「好き、きらい、したい、したくない、など」。そんなことを自分で決められる・伝えられる子なんだけど…。
でも振り返ると、この頃私のできたことは、ただやみくもに、愛することだけだったようです。
そのやあくんが、トーキングエイドを使い出して数ヶ月で大変身しました。
自己表出抜群の、自分のしたいことを、自分で見つけ、自分の力でやりとげる、毎日楽しく、愉快に暮らす、そんな自閉症児になりました。
今では毎晩「メニューを決め、夕食の買い出しから調理まで」、自分でやっています。
そんなやあくんの変身ぶりに、心理士の先生は「お母さんの工夫がよかったねえ」、小児神経の主治医は「こういうタイプの子にはまれなこと」、学校の先生も「まさかこんなに短期間で変わるとは」と言ってくれました。
実は暮らしていると、その変身ぶりに鈍感になりだし、最近は毎日の変化が当たり前のような気もしています。でも振り返ると「やあくんは、とても重い、それも自閉のきつい、大変な子ども」と言われていた…。つまりこの変化は、やあくんにすごい力があった訳でなく、彼にとって環境がやさしくなったらこうなった訳で…。だから、どの子だって工夫次第で変身できるんじゃない?
トーキングエイドを使う上で支援者のsyunさんと約束したのは、やあくんの要求にのみ使う、打ち込んだことは必ず実行することです。これで、トーキングエイドを「伝えるための手段」として使えるようになっていったと思います。したいことが増え、要求が大きくなっているのに、それを私に伝えようという力が非常に弱い…、できればボタンを押すと「おかあさん」と呼ぶようなVOCAがあればと思っていました。でも今思えば、本人の欲しかったところは全然違っていたように思います。母親の想像とは全く違う世界(思い)の中で生きている一人の少年、今の私には息子がそんな風に見えます。
気がつくと、自閉症という障害ゆえ、コミュニケートの仕方は人とは違うけれど、暮らし自体はごく普通の小学4年生に近づいてきました。外出だけでなく、調理や遊びなどへの好奇心も増え、全く弱かった人へ伝えようという気持ちも増え(いやなことをするお友達に「やめて」と言えるようになった!)、世界がどんどん広がっている。毎日「今日はどんなことをするだろう?」とこちらもワクワク。今の暮らしは"アドベンチャーライフ"、期待いっぱいの毎日です。
「文字獲得物語」ではなく、自分らしく生きているやあくんを感じてもらえればうれしいです。
—>トーキングエイドと「やあくん」のリポート全文はこちら
プロフィール
NPOぴーす
理事長 小田 多佳子
学齢期障がい児の子育て真っ最中。
我が子の子育てに悩みつつ、ストレスをぴーすの活動で発散しています。



